か な ぐ や   の   け ん ち く



 金具屋.com「建築」のページにようこそ。
金具屋九代目(予定)の西山和樹です。
ここでは、当館の建築について、木造四階建「斉月楼」を中心に
ご案内していきたいと思います。

 また、
「客室のご紹介」、にて館内全29室の写真入りの紹介を、
「食事処のご紹介」、にて当館の宴会場のご紹介をしております。
どうぞご覧下さい。

当館、全29室、写真入りの客室のご紹介です。
棟の紹介、客室の簡単な説明、間取り、対象となるプランのご案内をしております。客室選びの参考にしてください。
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 2003年7月1日、当館の「斉月楼」と「大広間」が、国の登録有形文化財に認定されました。
これは国民の貴重な財産である文化財を幅広く後世に引き継いでいくため、平成8年6月、文化財保護法の一部を改正し、導入された文化財等登録制度です。
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登録文化財「大広間」をはじめ、当館がもつ食事処のご紹介です。
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 さて、ここでは代表して「斉月楼の建築」について詳しく書いていきたいと思います。

この建物が、木造四階建「斉月楼」です。

昭和8年に着工し、3年後の昭和11年に完成しました。

昭和になるまで、地方の温泉場というのはほとんどが湯治場でした。部屋も「フスマ仕切り」が当たり前、滞在も1週間から1ヶ月近くの長期。食事は滞在者自身での自炊がほとんどでした。

昭和になって、先代の六代目西山平四郎が、「これから温泉場は1,2泊の『観光型』になる」と考え、宮大工を連れて当時の観光型温泉宿の先進地であった伊豆や箱根に行きました。

1ヶ月ほどの滞在の後、当地で気に入った建築を寄せ集め、最高級向けとして建設したのがこの「斉月楼」なのです。

同時に「大広間」「鎌倉風呂(初代)」がつくられました。

棟梁は小布施町の三田清助氏。
合計の建設費用は当時の金額で10万円程とだということです。
 斉月楼の一階、廊下の陳列棚です。

斉月楼は、「各室共に一軒の独立家屋たらしむべく苦心せる高級建築」(※昭和11年金具屋パンフレットより引用)とあるように、客室が家に見立てられ、廊下が街道に見立てられています。

この廊下も、軒が出ていて、提灯がぶら下がり、床には砂利が引かれ、空が青く塗られています。

近年、屋内に町並みを作っているアミューズメント施設が増えてきましたが、その先駆けかもしれませんね。
 一階から二階に上がる階段。

ケヤキの階段です。

よくみると、ふたつの階段を合わせたつくりになっています。
そのため、真ん中の段一枚だけ板の奥行きがちがいます。


斉月楼の壁は赤く塗られています。
これは“べんがら塗り”というもので、滋賀県の湖北地方、京都の祇園、北陸地方にも見ることができます。
遊郭の弁柄格子も同様です。

もともとはインドの「ベンガル」地方で天然の酸化物をつかい仏像を赤く塗っていたことから、「ベンガル」の名をとって「べんがら」と呼ばれるようになったという説もあるそうです。
 斉月楼二階廊下。

床にかつて使用していた水車の歯車が埋め込まれています。
斉月楼は客室のつくりが全て異なっているのですが、床の造りも各階ごとに異なります。

また、右端に写っている太い柱と敷石は、この建物の通し柱の一本です。
建物前方は一階から四階まで、後方一列のみ二階から四階までの通し柱で組まれています。長いものは八間半(約15m)という杉の柱です。

一本の木を使っている為、下の階ほど胴回りが太く、上の階ほど細く、節が目立ってきます。
ぜひたどってみてください。

この杉の木は新潟の杉林から切り出されてきたものです。虫抜きをするために、渋温泉に流れる横湯川に半年間浸けていたそうです。
 斉月楼三階廊下の階段手すり。

これも水車の部品、“軸”の部分です。

斉月楼を建設するときに、もともとの場所にあった水車小屋を取り壊した為、そこででた部品を流用したようです。

こういったところにも、当時の職人の遊び心を感じますね。

昭和10年頃というのは、ちょうど戦争に突入する前の時代です。この頃は日本の職人技術が爆発的に盛り上がった時代で、建築に限らず、さまざまな分野でいいものが作られたそうです。
 そして最上階、四階から踊場を見た光景。

山の形に開けられた窓と、まるい灯りが見えます。

窓は「富士山」に、灯りは「月」に見立てられています。

天井は船底様式になっており、空間の広がりを演出しています。

廊下はケヤキの鴬張り。一番奥の部屋(長生閣)に貴賓が泊まる為、人が部屋に近づくのを察知できるように鴬張りにしてるのではないかという説もあります。


斉月楼の中でも貴賓用につくられた最上階だけあって、廊下はケヤキ、先に目をやると富士山の絶景。

“自分の技術を見せる”という職人の気概を感じることができます。

以上、斉月楼の建築について、でした。

お泊り頂いた際に、私に時間があれば、簡単ですが斉月楼のご案内をすることができます(といっても、ここに書かれた内容でほとんどですが・・・)。17時30分頃、ご希望の方は帳場にお声をかけてください。

また、斉月楼等、当旅館内は、お泊りのお客様しか立ち入ることができませんのでご了承下さい。

実際に見ていただきながら、当時の日本旅館の風情にひたっていただければ幸いです。