登録有形文化財の宿

昭和11年に完成した木造4階建ての「金具屋斉月楼」と「金具屋大広間」が平成15年に国の登録有形文化財に認定されました。施主は六代目西山平四郎、棟梁は小布施の三田清助。大正から昭和にかけて鉄道網が完成し都会からの観光旅行の波が来るとなった頃、六代目はそれまでの療養宿ではなく絢爛豪華な観光旅館を目指すためにこれらの建物の建設を計画します。

 

この2つの建物の建築や歴史的なお話を、毎日夕方17時半より、金具屋ご宿泊の方限定で行っています。「金具屋文化財巡り」ぜひご興味のある方はご参加ください。

 

 

金具屋文化財巡り

※金具屋ご宿泊の方限定のサービスです

・毎日17:30~(約40分)参加無料
 ※時間は日によって変更になる場合があります

・ご希望の方はチェックインの際にお申し込みください

・建物を移動しながらのご案内となり、階段を多数使用します



ご紹介する2つの建物のご紹介です。
金具屋の内部を見られるはお泊りの方のみとなります。どうぞお泊りの際は細かな細工までお楽しみください。

 

木造四階建「金具屋斉月楼」

八間半(約15m)の杉の通し柱13本で立ち上げられた木造4階の楼閣。内の客室はそれぞれを独立した家屋に見立てられ、玄関、土間、框、次の間、本間、縁側がつくられている。したがって各階に2室ほどしか部屋がなく、4階建てにわずか7室という贅沢な造りとなっている。

ただ、宮大工が建てたとはいえ社寺仏閣のような荘厳なものではなく、旅館建築ならではの「遊び」が随所に施されている。例えは水車の廃材を使った階段やアワビの貝殻を使った屋根、1階の廊下の様子も大変斬新なものになっている。ワビサビの伝統文化ではなく、ケレン味にあふれた庶民発の建築というのも大きな特徴となっている。

建築基準法においては既存不適格となる木造4階建。このようなものに消防が正式に営業の許可(4階部分の宿泊の許可)を出している例は日本では他にほとんどなく、当時のまま残って同じように営業している、建築だけでなく動態保存ともいえる建物である。

 


 

木造大宴会場「金具屋大広間」

斉月楼と同時に建てられた宴会場の為の棟。山の傾斜を使っているため上の部分が広く、最上階が大広間となっている。大広間は座敷130畳、舞台30畳、廊下、床の間を入れると200畳を超える。一つの木造の広間としてはかなり大きなものとなる。

本間の天井は折り上げ格天井。これは昭和25年に再建された部分だが、格子の内側に井桁を組み入れるという変わった様子になっている(いわゆる2重格天井とは異なる)。日本建築に見えるが実は日本の建築と西洋の建築を取り入れて建てた擬洋風建築で、それにより130畳柱無しの広大な座敷を実現している。昭和20年2月12日の大雪で本間部分が倒壊、昭和25年に再建。その際の棟梁は町内の関大工による。

また大広間に至る階段もみどころ。水車の部品を使った手すりと笠松紫波の巨大な絵画。この絵は戦前の志賀高原を描いたもの。女性の服装から当時の文化の洗練さに驚くものである。

2017年05月04日